こんにちは。

行政書士の貞夫です。

行政書士試験に挑戦したいと思ったとき、真っ先に頭を悩ませるのが「独学で行けるのか、それとも予備校や通信講座を使うべきか」という点ですよね。

私も最初は独学でチャレンジしようと書店で参考書を手に取りましたが、その分厚さと専門用語の嵐に圧倒されたのを今でも覚えています。

正直に言えば、行政書士試験は独学でも合格可能な試験です。

ただし、「誰でも簡単に」というわけではありません。

この記事では、実際に独学で合格を目指す方々に向けて、試験の難易度や合格基準、効率的な学習方法、そして挫折しないためのコツまで、できる限り具体的に解説していきます。

あなた自身に合った学習スタイルを見極めるヒントにしていただければ嬉しいです。

Contents

行政書士試験の難易度と合格基準

10%前後で推移する合格率から見る突破の壁

行政書士試験の合格率は、例年10〜14%前後で推移しています。

令和6年度(2024年)は12.90%、令和5年度は13.98%という結果でした。

つまり、受験者約5万人のうち、合格できるのはわずか6,000人前後という計算になります。

一般財団法人行政書士試験研究センター

10人受験して9人は不合格という数字を見ると、決して簡単な試験ではないことが分かります。

ただし、合格率が低い背景には

受験資格が不要

という特性があります。

年齢・学歴・国籍に関係なく誰でも受験できるため、準備不足のまま試験に臨む「記念受験勢」が一定数含まれていると言われています。

そのため、しっかり準備した受験者に限れば、実質的な合格率はもう少し高くなるという見方もできます。

他資格(宅建・社労士・司法書士)との相対的な位置付け

行政書士試験の難易度を理解するには、他の法律系資格と比較するのが分かりやすいです。

  • 宅建士試験:合格率15〜18%、必要勉強時間200〜300時間程度
  • 行政書士試験:合格率10〜14%、必要勉強時間500〜1,000時間程度
  • 社会保険労務士試験:合格率6〜7%、必要勉強時間500〜1,000時間程度
  • 司法書士試験:合格率4〜5%、必要勉強時間3,000〜4,000時間程度

こうして見ると、行政書士試験は宅建士よりは難しく、司法書士よりは取り組みやすい中間的な位置にあることが分かります。

法律初学者が比較的短期間で目指せる難関資格と言えるでしょう。

ただし、司法書士や税理士といった超難関資格と比較して「楽」というわけではありません。

1,000時間という膨大な勉強時間が必要になる覚悟は必要です。

偏差値60以上とされる法的思考力の要求水準

行政書士試験は単なる暗記試験ではありません。

憲法・行政法・民法といった法律科目では、条文や判例の知識だけでなく、それらを実際の事例に当てはめて考える「法的思考力」が求められます。

偏差値で表現するなら60以上の水準と考えられています。

私が勉強していて特に感じたのは、民法の問題の奥深さでした。

同じ条文を使う問題でも、問われ方が少し変わるだけで答えが変わってしまう。

「なぜそうなるのか」という理屈を理解していないと、過去問を暗記しただけでは太刀打ちできないのです。

これが行政書士試験の難しさであり、同時に面白さでもあると私は感じました。

法令科目と基礎知識に設けられた「足切り」の仕組み

行政書士試験には「足切り制度」が存在します。

合格基準は以下の3つすべてを満たす必要があります。

  1. 法令科目で122点以上(244点満点)
  2. 基礎知識科目で24点以上(56点満点)
  3. 全体で180点以上(300点満点)

つまり、たとえ全体で180点を超えていても、法令科目または基礎知識科目のどちらか一方でも基準点に達していなければ不合格になってしまいます。

私の知人は法令科目で高得点を取ったものの、基礎知識科目がわずか2問足りず不合格になったという苦い経験をしています。

この足切り制度があるため、得意科目に偏った勉強では合格できません。

苦手科目も最低限の基準点を確保する戦略が不可欠です。

行政書士試験に最適な学習スタイル

独学

独学が向いているのは、次のような特徴を持つ方だと考えられます。

  • 自分で情報を収集・整理し、計画を立てられる人
  • スケジュール管理が得意で、継続力がある人
  • 一人で黙々と作業することが苦にならない人
  • 分からないことを自分で調べて解決できる人
  • 法律の学習経験がある、または理解力に自信がある人

私自身、学生時代は夏休みの宿題を計画的にこなすタイプでしたが、それでも独学での勉強は想像以上に孤独で辛かった記憶があります。

質問できる講師がいない、ペースを作ってくれる仲間がいない、正しい方向に進んでいるのか不安になる。

独学にはこうした精神的なハードルがあることを覚悟しておくべきでしょう。

逆に、自己管理が苦手な方、モチベーション維持に不安がある方は、予備校や通信講座の利用を検討したほうが結果的に効率的かもしれません。

社会人や学生が確保すべき総勉強時間の目安(500〜1,000時間)

行政書士試験合格に必要な勉強時間は、一般的に500〜1,000時間と言われています。

法律初学者の場合は1,000時間以上、法律の学習経験がある方なら500〜600時間程度が目安です。

1日あたりの勉強時間で考えてみましょう。

  • 1日2時間勉強する場合:約1年4ヶ月(1,000時間達成)
  • 1日3時間勉強する場合:約11ヶ月(1,000時間達成)
  • 1日4時間勉強する場合:約8ヶ月(1,000時間達成)

社会人の場合、平日に2〜3時間、休日に5〜6時間という配分で1年程度かけて合格を目指すのが現実的でしょう。

学生で時間に余裕がある方なら、半年から8ヶ月程度での合格も十分可能です。

私が特に意識していたのは「スキマ時間の活用」でした。

通勤電車の30分、昼休みの20分、寝る前の15分。

これらを積み重ねるだけで1日1時間以上は確保できます。

短期合格者に共通する環境の傾向

実際に短期合格を果たした方々の体験談を分析すると、いくつかの共通点が見えてきます。

勉強に専念できる環境がある

短期合格者の多くは、家族の理解を得て勉強時間を確保できていたり、仕事の負担が比較的少ない時期に受験していたりするケースが多いと感じます。

勉強に集中できる静かな環境、邪魔されない時間帯を持っているというのは想像以上に重要です。

明確な目標と強い動機がある

「なんとなく資格があると良いかも」ではなく、「独立開業したい」「キャリアアップしたい」といった明確な目標を持っている方は、モチベーションが持続しやすいようです。

私も「この資格で人生を変えたい」という強い思いがあったからこそ、辛い時期を乗り越えられたと思っています。

情報収集力が高い

独学で成功する人は、効率的な勉強法を自分で調べて実践する能力に長けています。

YouTubeの無料講義、SNSでの情報交換、合格者のブログなど、あらゆるリソースを活用しているという印象です。

独学で合格する方法

配点の高い「行政法」と「民法」を最優先する学習順序

行政書士試験で最も重要なのは、配点の高い「行政法」と「民法」を制することです。

科目別の配点を見てみましょう。

  • 行政法:112点(全体の約37%)
  • 民法:76点(全体の約25%)
  • その他の法令科目:56点
  • 基礎知識科目:56点

行政法と民法だけで合計188点、つまり全体の62%以上を占めています。

合格基準の180点を目指すなら、この2科目で高得点を取ることが最優先戦略になります。

私がおすすめする学習順序は次の通りです。

  1. 民法の基礎固め(総則・物権・債権):法律の基本的な考え方を学ぶ
  2. 憲法:比較的取り組みやすく、短期間で得点源にできる
  3. 行政法(行政手続法・行政不服審査法・行政事件訴訟法):配点最大の重要科目
  4. 商法・会社法:出題数は少ないが基本を押さえる
  5. 基礎知識科目:足切りを回避できる程度に対策

この順序で進めることで、早い段階から合格点に近づく実感が得られるはずです。

過去問の「正解」ではなく「根拠」を理解する反復術

独学で失敗しやすいのが、過去問の答えを暗記してしまうパターンです。

「この問題の答えは3番」と覚えても、少し表現が変わっただけで解けなくなってしまいます。

大切なのは「なぜその答えになるのか」という根拠を理解することです。

私が実践していた方法を紹介します。

間違えた問題には必ず印をつける

1周目で間違えた問題にはチェックマークをつけ、2周目・3周目と繰り返し解きます。

正解できるようになるまで何度でも戻ります。

条文や判例を必ず確認する

問題を解いた後、解説だけでなく、該当する条文や判例を六法で確認する習慣をつけましょう。

これにより、知識が点から線へとつながっていきます。

自分の言葉で説明できるようにする

「なぜこの選択肢が正解なのか」を自分の言葉で説明できるようになるまで理解を深めます。

人に説明するつもりで要点をノートにまとめるのも効果的です。

過去問は最低でも3周、できれば5周以上繰り返すことをおすすめします。

記述式問題で部分点を確実に積み上げる文章構成のコツ

記述式問題は配点が高い(行政法20点、民法40点の合計60点)ため、ここで点数を稼げるかどうかが合否を分けます。

多くの受験生が苦手とする記述式ですが、独学でも対策は可能です。

解答の型を身につける

記述式には「結論」→「要件」→「効果」という基本的な流れがあります。

例えば、「Aさんは契約を取り消すことができるか」という問題なら、

  • 結論:取り消すことができる(できない)
  • 要件:〇〇法△条により、□□の場合には
  • 効果:契約を取り消すことができると規定されているため

という構成で答えます。

この型を意識するだけで、部分点を確実に獲得できるようになります。

40字程度で要件と効果をまとめるアウトプット練習

記述式問題は40字程度という制限があるため、簡潔に要点をまとめる力が求められます。

私が実践していた練習方法を紹介します。

重要な条文を40字でまとめる練習

民法や行政法の重要条文を、40字以内で自分の言葉でまとめてみましょう。

例:民法96条(詐欺・強迫) 「詐欺または強迫による意思表示は取り消すことができるが、善意無過失の第三者には対抗できない。」(45字→40字以内に調整)

過去問の模範解答を書き写す

最初は模範解答を書き写すだけでも構いません。

「こういう表現をするんだな」という感覚を掴むことが大切です。

時間を計って実際に書く

慣れてきたら、実際に時間を計って記述問題を解いてみましょう。

本番では3問で20〜30分程度の時間配分になるはずです。

基礎知識の深追いを避け基準点突破を狙う手法

基礎知識科目は出題範囲が広く、対策が難しい科目です。

政治・経済・社会・情報通信・個人情報保護・文章理解など、多岐にわたります。

ここで重要なのは「深追いしない」ことです。

基礎知識科目の配点は56点、合格基準は24点(約43%)です。

つまり、半分も取れなくても足切りを回避できます。

私がおすすめする対策は以下の通りです。

文章理解を確実に取る

文章理解問題(3問程度)は、国語力があれば得点しやすい分野です。

ここを確実に押さえるだけで12点程度確保できます。

個人情報保護・情報通信は重点的に

出題頻度が高く、勉強すれば得点につながりやすい分野です。

テキストの該当部分を繰り返し読み込みましょう。

時事問題は新聞やニュースで補強

政治・経済の時事問題は、日頃から新聞やニュースをチェックする習慣をつけることで対応できます。

深く勉強するより、幅広く知識を持つことが大切です。

独学者が準備すべき必須教材

初学者のための図解入り参考書

法律初学者にとって最初の壁は「法律用語」です。

意思表示、瑕疵、善意・悪意、時効など、日常生活では使わない専門用語のオンパレードに圧倒されます。

そこで重要なのが、図解やイラストが豊富な入門書を選ぶことです。

おすすめの参考書の特徴をまとめます。

初学者向けのおすすめポイント

  • フルカラーで見やすい
  • 図解・イラストが豊富で視覚的に理解できる
  • 専門用語に丁寧な解説がある
  • 出題頻度や重要度が明記されている
  • 1冊で全科目をカバーしている

具体的には「みんなが欲しかった!行政書士の教科書」(TAC出版)や「合格革命 行政書士 基本テキスト」(早稲田経営出版)などが評価が高いです。

TAC出版書籍販売サイト

私も最初はこうした入門書から始めて、法律の世界に少しずつ慣れていきました。

アウトプットの質を高める肢別問題集の活用

インプット用の参考書と並行して、アウトプット用の問題集も早めに用意しましょう。

特におすすめなのが「肢別問題集」です。

五肢択一問題を1つ1つの選択肢ごとに○×で判断する形式になっており、知識の定着度を細かくチェックできます。

肢別問題集の効果的な使い方

  • 参考書で1つの単元を読んだら、すぐに該当箇所の肢別問題を解く
  • 間違えた選択肢には印をつけて、後日必ず解き直す
  • 正解した問題でも、他の選択肢が「なぜ間違いなのか」を確認する

この繰り返しによって、曖昧な知識が明確になり、得点力が飛躍的に向上します。

最新の法改正情報を正確にキャッチアップする手段

行政書士試験では、最新の法改正が反映されます。

古いテキストで勉強していると、正しい知識が身につかないリスクがあります。

法改正情報の入手方法

  1. 最新版のテキストを使用する:必ず当該年度の最新版を購入しましょう
  2. 資格予備校の無料情報を活用:TACやアガルートなどのウェブサイトで法改正情報が公開されています
  3. YouTubeの無料講義:「アガルートの最短ルートTV」などで法改正のポイントを解説しています
  4. 行政書士試験研究センターの公式サイト:試験の詳細や最新情報が掲載されています

私も試験の3ヶ月前からは法改正情報を重点的にチェックし、ノートにまとめていました。

模擬試験(模試)を外部受験して本番の感覚を養う重要性

独学者が陥りがちな失敗が「模試を受けずに本番を迎える」ことです。

模試には次のような重要な役割があります。

模試を受けるメリット

  • 本番と同じ3時間の試験を体験できる
  • 時間配分の感覚を掴める
  • 自分の実力を客観的に把握できる
  • 弱点分野を明確にできる
  • 他の受験生と比較して自分の立ち位置が分かる
  • 試験会場の雰囲気に慣れることができる

できれば本番の2〜3ヶ月前に、予備校が実施する公開模試を受験することをおすすめします。

市販の予想問題集を自宅で解くのも良いですが、試験会場で緊張感を持って解く経験は何物にも代え難いです。

私は本番1ヶ月前に模試を受けて、思ったより時間が足りないことに気づき、急いで時間配分の練習をした記憶があります。

モチベーションを維持し最後まで完走するための習慣化

試験日から逆算した月別・週別のロードマップ作成

独学で最も難しいのが「計画的に勉強を進めること」です。

試験日は毎年11月の第2日曜日と決まっていますので、そこから逆算してロードマップを作りましょう。

1年計画の例(11月試験の場合)

  • 11月〜1月:民法の基礎(総則・物権)をじっくり学ぶ
  • 2月〜3月:民法の債権、憲法を学ぶ
  • 4月〜6月:行政法を集中的に学ぶ(配点が最も高い)
  • 7月:商法・会社法、基礎法学を学ぶ
  • 8月:基礎知識科目を学ぶ、記述式対策を始める
  • 9月:過去問を本格的に解き始める(1周目)
  • 10月:過去問2周目、模試受験、弱点克服
  • 11月:総復習、直前対策

これを週単位、日単位にブレイクダウンして、「今週はテキストのP.100〜150」といった具体的な目標に落とし込みます。

もちろん、計画通りに進まないことも多いです。

私も何度もスケジュールを修正しましたが、「目標を持つこと」自体が道に迷わないための指針になります。

仕事や家事の合間に取り組む「スキマ時間」の活用術

社会人や主婦の方にとって、まとまった勉強時間の確保は至難の業です。

そこで重要になるのが「スキマ時間の活用」です。

スキマ時間活用のアイデア

  • 通勤時間:電車内でスマホアプリやテキストを読む(往復1時間なら大きい)
  • 昼休み:食事後の20分を暗記カードや問題演習に充てる
  • 待ち時間:病院や美容院の待ち時間に条文を読む
  • 家事の合間:料理中や掃除中に音声講義を聴く
  • 就寝前:ベッドに入ってから15分、記述式の型を復習する

これらを合計すると、1日1〜2時間は確保できるはずです。

私は通勤電車の30分を民法の暗記カードに充て、昼休みの20分で過去問を解くという習慣を半年間続けました。

スキマ時間は「細切れで集中しにくい」というデメリットもありますが、反復学習には最適です。

SNSやアプリを活用した学習記録による自己管理

独学の孤独感を和らげ、モチベーションを維持するのに役立つのがSNSやアプリの活用です。

おすすめの活用法

  • Studyplus(スタディプラス):勉強時間を記録し、他の受験生と励まし合えるアプリ
  • Twitter(X):「#行政書士試験」で検索し、受験仲間とつながる
  • YouTube:アガルートや伊藤塾の無料講義で疑問点を解消する
  • 行政書士トレ問(アプリ):スマホでスキマ時間に過去問演習ができる

私もTwitterで同じ時期に受験する仲間を見つけ、お互いの進捗を報告し合っていました。

「今日は民法を3時間勉強した!」と投稿すると、「頑張ってますね!私も負けません!」と返信があり、それが励みになりました。

一人で黙々と勉強するのが辛い方には、こうしたオンラインコミュニティの活用を強くおすすめします。

まとめ

行政書士試験に独学で合格することは決して不可能ではありません。

しかし、それには正しい戦略と継続的な努力、そして何より「絶対に合格する」という強い意志が必要です。

この記事でお伝えした重要ポイントをもう一度まとめます。

独学合格のための5つのポイント

  1. 配点の高い行政法と民法を最優先して学習する
  2. 過去問の根拠を理解することに時間をかける
  3. 記述式対策を早めに始め、部分点を確実に積み上げる
  4. 基礎知識科目は深追いせず、足切り回避を目指す
  5. スキマ時間を活用し、継続的に勉強する習慣をつける

独学には費用を抑えられる、自分のペースで進められるというメリットがある一方、質問できない、モチベーション維持が難しいというデメリットもあります。

自分の性格や環境を冷静に分析し、もし独学に限界を感じたら、通信講座や予備校の利用も視野に入れてください。

大切なのは「合格すること」であり、「独学にこだわること」ではありません。

あなたが行政書士試験に合格し、新たなキャリアをスタートさせる日が来ることを心から応援しています。