こんにちは、行政書士の貞夫です。
今日は、国際業務の登竜門とも言える「技術・人文知識・国際業務」という在留資格について、詳しくお話しさせていただきます。
この在留資格は、私たち行政書士が入管業務を扱う上で、最も頻繁に接する重要な資格の一つです。
正直に言うと、この名称を初めて聞いたとき、私も「何のこと?」と混乱しました。
技術?人文知識?国際業務?という感じで。
でも、この在留資格をマスターすることは、行政書士として国際業務で活躍するための第一歩なんです。
外国人材の受け入れが拡大し続ける日本において、この分野の専門知識を持つことは、事務所経営の大きな武器になります。
この記事では、私の実務経験も交えながら、できるだけわかりやすく解説していきますので、最後までお付き合いください。
Contents
行政書士が専門知識として備えるべき国際業務の全体像
外国人雇用拡大に伴う市場の現状と将来性
現在の日本は、深刻な人手不足に直面しています。
法務省の統計によると、2024年末時点で日本に在留する外国人の数は約376万人に達しているそうです。
これは11年前の2013年末と比べて、実に160万人以上も増加しているんです。
私が開業した当初と比べても、外国人雇用に関する相談は明らかに増えています。
企業の人事担当者からの問い合わせ、留学生からの就職相談、そして外国人を採用したい中小企業からの依頼など。
この傾向は今後も続くと考えられます。
少子高齢化が進む日本において、高度外国人材への需要は増え続ける一方です。
つまり、入管業務を扱える行政書士の需要も、それに比例して高まっているということなんです。
私自身、この分野に特化して良かったと心から感じています。
入管業務を扱う上での法的責任と職務の重み
入管業務は、単なる書類作成の仕事ではありません。
私たちが作成する申請書類は、外国人の人生を左右するものです。
在留資格の取得に失敗すれば、その外国人は日本での夢を諦めなければなりません。
また、雇用する企業にとっても、大きな機会損失となります。
だからこそ、申請取次行政書士としての役割と倫理観を、常に意識しなければならないのです。
私が特に気をつけているのが、虚偽申請のリスクです。
どんなに事情に同情しても、虚偽の内容で申請することは絶対に許されません。
以前、依頼者から「少し内容を盛って書いてほしい」と言われたことがありました。
その時は、丁寧に説明して、正しい方法で申請することの重要性を理解していただきました。
結果として、正直に申請した内容で無事に許可が下りたんです。
法的責任を背負う覚悟と、依頼者に対する誠実な姿勢。
この二つを常に心に留めて業務に臨んでいます。
「技術・人文知識・国際業務」の定義と該当する職種
理系・文系・通訳翻訳等のカテゴリー分類
「技術・人文知識・国際業務」は、通称「技人国」と呼ばれています。
この在留資格は、大きく分けて三つのカテゴリーに分類されます。
まず「技術」とは、理系の専門知識やスキルを使う仕事を指します。
具体的には、ITエンジニア、システム開発、機械設計、電気設計などですね。
私が担当したケースでは、インド出身のプログラマーの方が、日本のIT企業に就職するために申請したことがあります。
次に「人文知識」は、法学、経済学、社会学、文学など、いわゆる文系の専門知識を使う仕事です。
営業、企画、マーケティング、経理、貿易事務などが該当します。
中国の大学で経営学を学んだ方が、日本企業の営業職に就くケースなどがこれに当たります。
そして「国際業務」は、語学力や異文化理解などのスキルを活かす仕事です。
翻訳、通訳、海外取引業務、デザイナー、私企業の語学教師などが含まれます。
ただし、注意が必要なのは、単に「中国語ができるから」という理由だけでは認められないということです。
実際の業務内容が、専門知識を活かしたものでなければなりません。
学歴や実務経験に関する一般的な要件
技人国の在留資格を取得するには、一定の学歴または実務経験が必要です。
基本的には、大学または日本の専門学校(専門士の称号を付与されるもの)を卒業していることが要件となります。
そして重要なのが、学んだ内容と従事する業務内容の関連性です。
たとえば、大学で観光学を学んだ方が、ホテルの営業職に就くのであれば問題ありません。
しかし、観光学を学んだ方が、プログラマーになるとなると、関連性の説明が必要になります。
もし大学を卒業していない場合でも、道はあります。
10年以上の実務経験があれば、学歴要件を満たすことができるんです。
ただし、国際業務に関しては、3年以上の実務経験で足りるとされています。
私が担当したケースで、大学を卒業していない方が、10年以上の通訳経験を証明して、無事に許可が下りたこともあります。
実務経験を証明する書類の準備は大変でしたが、丁寧に積み上げることで、入管の審査官にも理解していただけました。
申請取次実務で重要視される審査の着眼点
企業の安定性・継続性を判断する指標
入管の審査では、雇用する企業の安定性も厳しくチェックされます。
なぜなら、外国人を雇用できるだけの経営基盤があるかどうかが重要だからです。
具体的には、決算書から企業の財務状況を読み取ります。
売上高、営業利益、自己資本比率などを確認し、外国人を継続的に雇用できる能力があるかを判断するのです。
私が経験したケースで、設立間もない企業が外国人を雇用しようとしたことがありました。
その際は、事業計画書、資金繰り表、取引先との契約書など、補足資料を丁寧に準備しました。
新設法人の場合は、決算書がないため、こうした補足資料で企業の実態と将来性を示す必要があるんです。
また、給与水準も重要なチェックポイントです。
日本人と同等以上の報酬でなければなりません。
時給換算で極端に低い給与では、不許可になる可能性が高いです。
実際、時給1,000円を下回るような条件で申請を出した企業が不許可になった例もあると聞いています。
従事する職務内容と専攻科目の関連性
審査で最も重要視されるのが、学んだ内容と仕事内容の関連性です。
これが審査の最大のポイントと言っても過言ではありません。
入管は、「単純労働」とみなされないかどうかを、非常に厳しく審査します。
たとえば、「通訳業務」として申請しても、実際にはレジ打ちや厨房の仕事ばかりでは認められません。
私が担当したあるケースでは、留学生が大学で経営学を学び、日本企業の営業職に内定をもらいました。
一見すると問題なさそうですが、実際の審査では「営業職が、学んだ経営学の知識を活かす内容かどうか」が厳しくチェックされました。
そこで私は、企業側に詳細な業務内容をヒアリングし、「単なるルート営業ではなく、市場分析や価格戦略の提案など、専門知識を活かした内容である」という点を明確にしました。
理由書作成において留意すべき説明の論理構成
理由書の作成は、申請取次業務の中でも特に重要です。
私がいつも心がけているのは、申請者の経歴と企業の業務課題を、いかに論理的につなげるかです。
まず、申請者がこれまで何を学び、どのような経験を積んできたのかを整理します。
次に、雇用する企業がどのような課題を抱えていて、なぜこの外国人が必要なのかを説明します。
そして、申請者の専門知識・スキルが、企業の課題解決にどう貢献するのかを、具体的に示すのです。
たとえば、「当社は中国市場への進出を計画しており、中国の商習慣や消費者動向に精通した人材が必要である。申請者は中国の大学で経営学を専攻し、マーケティングの知識を有している。また、母国語である中国語を活かして、中国企業との交渉や市場調査を担当する」といった具合です。
この論理構成がしっかりしていれば、審査官も納得してくれます。
逆に、曖昧な説明では、不許可のリスクが高まります。
専門性を高めるための学習方法と情報収集のコツ
最新の入管法改正や審査要領への対応
入管業務は、法律の改正や審査基準の変更が頻繁にあります。
過去の知識だけでは、とても対応できません。
私が常に意識しているのは、出入国在留管理庁のホームページをこまめにチェックすることです。
新しい通達や運用変更は、ここで最初に発表されます。
また、手引きには載っていない「運用」の変化を察知することも重要です。
たとえば、以前は問題なく許可されていた案件が、最近は追加資料を求められるようになった、といった変化です。
こうした情報は、実務をこなす中で肌で感じ取るしかありません。
だからこそ、日々の業務の中で「あれ?以前と違うな」という感覚を研ぎ澄ませておく必要があるのです。
実務家ネットワークや研修制度の活用
私が大切にしているのが、他の行政書士とのつながりです。
行政書士会の支部研修には、できるだけ参加するようにしています。
そこでは、最新の実務情報や、他の先生方の成功事例を聞くことができます。
また、先輩行政書士とのつながりは、本当に貴重です。
困った案件があったとき、相談できる相手がいるというのは、大きな安心感につながります。
もちろん、守秘義務には十分注意しながらですが、経験豊富な先生方からのアドバイスは、何物にも代えがたい財産です。
私自身も、後輩の行政書士から相談を受けたときは、できる限り力になりたいと思っています。
お互いに情報を交換し合うことで、業界全体のレベルが上がっていくと信じています。
まとめ
ここまで、「技術・人文知識・国際業務」という在留資格について、詳しく解説してきました。
この在留資格は、国際業務の登竜門であり、最も頻繁に扱う重要な資格です。
改めて要点をまとめると、以下のようになります。
まず、外国人雇用の拡大に伴い、入管業務の需要は今後も増え続けると考えられます。
この分野の専門知識を持つことは、行政書士として大きな強みになります。
次に、技人国は「技術」「人文知識」「国際業務」の三つに分類されます。
それぞれ、理系の専門職、文系の専門職、語学を活かした職種が該当します。
学歴要件としては、大学卒業または10年以上の実務経験(国際業務は3年)が必要です。
そして最も重要なのが、学んだ内容と仕事内容の関連性です。
審査では、企業の安定性と、従事する職務内容が専門知識を活かしたものかどうかが厳しくチェックされます。
理由書の作成では、申請者の経歴と企業の業務課題を論理的につなげることが求められます。
また、最新の法改正や審査要領への対応、実務家ネットワークの活用も欠かせません。
「技術・人文知識・国際業務」の深い理解は、事務所経営の武器になります。
私自身、この分野を深く学んだことで、多くの依頼者と出会い、信頼関係を築くことができました。
外国人の方々が日本で夢を実現するお手伝いができること。
それは、行政書士として、何にも代えがたいやりがいです。
継続的なアップデートと誠実な実務対応を心がけて、これからも精進していきたいと思います。
この記事が、国際業務に興味を持つ行政書士の皆さんや、外国人雇用を考えている企業の方々のお役に立てれば幸いです。